夏休みが近づくと、「自由研究のテーマ、うちの子はどうしよう」と頭を悩ませる保護者の方は多いのではないでしょうか。中学生になると、小学生の頃のように「ネタ一覧」からそのまま選ぶだけでは、本人も物足りなさを感じることがあります。かといって、ゼロから独自のテーマを考えるのは大人でも簡単ではありません。テーマ選びに時間をかけすぎて、気づけば夏休み後半に突入してしまうご家庭は珍しくありません。
中学生の自由研究は、「片づけるべき宿題」としてではなく、お子さんの「好き」を掘り下げる探究のきっかけとして捉え直すことができます。
ちなみに、テーマ選びの段階からつまずきやすいという方には、性格タイプ×好きなものをAIが掛け合わせて「他の子と被らない」自由研究テーマを提案してくれる無料ツール自由研究のテーマ考案ツール「研究のタネ」もあります。名前や学校名の入力は不要で、3〜5分ほどで診断が終わります。
この記事でわかること
- 中学生の自由研究で「テーマが決まらない」を解決する考え方
- 理科・社会・ものづくりなど分野別のテーマの選び方と広げ方
- AIを自由研究のテーマ探しに活用する方法と気をつけたいポイント
- レポートとしてまとめる際の基本構成とコツ
- 自由研究を通じてお子さんの「好き」を将来につなげる視点
自由研究とは?中学生に求められる「探究」の視点
自由研究は、教科書に沿って進める通常の宿題とは違い、テーマ選びから調べ方、まとめ方まで自分で組み立てる課題です。小学生の頃は「やってみて楽しかった」「きれいにできた」で十分に評価されることが多いですが、中学生になると求められる水準が少し変わってきます。なぜそのテーマを選んだのか、どのような方法で調べたのか、結果から何がわかったのかという一連の流れを、筋道立てて説明できることが求められるようになるのです。
この背景には、学校教育全体が「探究」を重視する方向に進んでいることがあります。文部科学省は、総合的な学習の時間において「①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現」という探究のプロセスを明示し、この流れを繰り返しながら学習活動を発展させていくことを重視するとしています(文部科学省「総合的な学習(探究)の時間の変遷と質的転換」2025年5月)。
この4つの流れは、実は自由研究の進め方そのものと重なります。つまり中学生の自由研究は、模造紙や工作物といった「作品」を完成させることがゴールなのではなく、自分で問いを立て、調べ、考えたことを人に伝えるという一連の体験そのものに価値があります。
学校の総合的な学習の時間でも、実社会や実生活の中から問いを見いだし、自分で課題を立てて情報を集め、整理・分析してまとめ・表現する力を育てることが目標として掲げられています。夏休みの自由研究は、この力を家庭という場で試せる、数少ない実践の機会ともいえます。
Investureが大切にしている「学校の勉強が将来どうつながるか」という視点は、実はこの自由研究のプロセスの中にすでに含まれています。テーマを決め、調べ、まとめて発表するという経験は、社会に出てからの企画立案や課題解決の進め方と地続きだからです。
テーマが決まらない理由と「好き」の見つけ方
中学生ならではの悩み
小学生の頃は、保護者が一緒に書店や図書館でテーマ本を探すなど、伴走することが多いものです。ところが中学生になると、部活動の大会前だったり、塾の夏期講習が始まっていたりと、本人も保護者も忙しく、テーマ探しにじっくり向き合う時間が取りにくくなります。「自分で決めなさい」と言われても、何から手をつけていいかわからず、結局は夏休み終盤になって慌ててしまう、という状況になりがちです。
さらに、中学生になると周囲の目を意識するようになり、「幼稚に見られたくない」「去年と同じような実験は嫌だ」といった気持ちが働くこともあります。テーマが決まらない最大の理由は、多くの場合、興味がないからではありません。興味の範囲が広がりすぎていて、逆にどこから手をつけていいかわからなくなっている、あるいは好きなことを「調べられる形」に変換する方法がわからないだけ、というケースが目立ちます。
「好き」を探すための3つの質問
テーマ探しにつまずいたときは、いきなり「テーマは何にする?」と聞くのではなく、次の3つの質問をお子さんに投げかけてみてください。
- 最近「なんでだろう」と思ったことは何か(疑問から入る)
- 部活動や趣味の中で、もっと詳しくなりたいことは何か(興味から入る)
- ニュースやSNSで気になった話題は何か(社会とのつながりから入る)
たとえば、サッカー部に所属する中学2年生のBさんは、「なぜプロ選手は疲れにくいのか」という素朴な疑問から、運動時の水分補給のタイミングと体温変化の関係を調べる自由研究に発展させました。またイラストが好きな中学1年生のCさんは、「なぜこの配色は目を引くのか」という興味から、色の組み合わせと人の印象の関係を簡単なアンケート調査でまとめました。どちらも、最初から「立派な研究」を目指したわけではなく、日常の中の「好き」や「気になる」を出発点にしています。
好きなことの延長線上に問いを立てると、調べる過程そのものが苦にならず、途中で投げ出しにくくなるという利点もあります。テーマ選びに時間がかかること自体は、決して悪いことではありません。むしろ、その時間こそがお子さんの興味関心を知る手がかりになります。
3つの質問を投げかけても絞り込みが難しいときは、研究のタネのような診断ツールを使い、お子さんの性格タイプと好きなものの組み合わせからテーマ案をもらうのも一つの手です。10問の診断とキーワード入力だけで、被り度と先生ウケの目安つきでテーマ候補が6つ届きます。
中学生におすすめの自由研究テーマ【分野別】
どれも「調べて終わり」にならず、自分なりの考察につなげやすいテーマを分野別に選びました。各分野の具体的なテーマ例を一覧表にまとめているので、お子さんの興味に近い分野から眺めてみてください。
理科・実験系
理科の授業で扱った実験を、家庭でできる形にアレンジするのがおすすめです。たとえば、食塩水の濃度と氷の溶ける速さの関係や、日光の当たり方による植物の成長の違いなど、条件を1つだけ変えて比較する実験は、結果の違いがはっきり出やすく、考察も書きやすくなります。
中学生の場合は、単に結果を記録するだけでなく、「なぜそうなったのか」を理科の授業で習った知識と結びつけながら、仮説を立てたうえで検証する流れにすると、レポート全体の説得力が増します。実験がうまくいかなかった場合も、「なぜ予想通りにならなかったのか」を考えること自体が価値のある考察になります。
たとえば、「炭酸飲料の温度によって泡立ち方はどう変わるか」というテーマであれば、冷蔵庫で冷やしたもの、常温のもの、ぬるま湯につけたものの3パターンを用意し、開栓してから泡が落ち着くまでの時間を計測して比較するだけで、条件をそろえた実験として成立します。身近な飲み物や調味料を使ったテーマは、材料の入手がしやすく、部活動で忙しい中学生でも短期間で取り組みやすいのも魅力です。
| テーマ例 | 調べ方のポイント | 目安期間 |
|---|---|---|
| 炭酸飲料の温度と泡立ち方の関係 | 冷蔵・常温・ぬるま湯の3条件で泡が落ち着くまでの時間を計測 | 1日 |
| 食塩水の濃度と氷の溶ける速さ | 濃度だけを変えて溶けきるまでの時間を比較 | 1日 |
| 10円玉をピカピカにする調味料はどれか | 酢・レモン汁・ソース・ケチャップなどで比較し、成分から理由を考察 | 1日 |
| ペットボトルの水の温まり方と容器の色 | 黒・白・透明の容器で日なたに置き、温度変化を記録 | 2〜3日 |
| 洗剤の種類とシャボン玉の割れにくさ | 配合を変えて持続時間を計測、界面活性剤の働きと結びつける | 1〜2日 |
| 日光の当たり方と植物の成長の違い | 同じ苗を置き場所だけ変えて毎日記録 | 2〜3週間 |
| 紫キャベツで作る酸性・アルカリ性の判定液 | 身近な液体を調べてpHごとに色を整理 | 1〜2日 |
| 冷凍方法による食品の食感の変化 | 急速冷凍と通常冷凍で解凍後の状態を比較 | 2〜3日 |
社会・データ調査系
アンケートや統計データを使った調査は、中学生の探究力が特に伸びる分野です。地域の商店街の利用状況を調べたり、家族や友人にアンケートを取って結果をグラフにまとめたりする方法があります。「一番ジューシーになるお肉の温度や調理法」のように、料理と理科を組み合わせた変わり種のテーマも、日々の生活と結びつけやすい例として紹介されています(明光プラス「中学生の自由研究おすすめテーマ16選」2025年8月)。
調べ学習にとどめず、自分なりの仮説と検証を加えることで、単なる「まとめ」から一歩進んだ自由研究になります。統計を扱う際は、サンプル数が少なすぎないか、聞き方によって回答が偏っていないかといった点にも触れておくと、より説得力のある考察になります。
たとえば「家族の1週間のスマートフォン利用時間」を記録して、平日と休日でどう違うかをグラフにまとめるテーマであれば、身近な家庭内のデータだけで完結します。集計した結果を家族で共有し、「なぜこの曜日だけ長いのか」を話し合う時間を持つと、データを読み解く力そのものが育ちます。数字を集めるだけで終わらせず、そこから見える生活習慣や理由まで考察に含めることが、中学生らしい深みにつながります。
| テーマ例 | 調べ方のポイント | 目安期間 |
|---|---|---|
| 家族の1週間のスマートフォン利用時間調査 | 平日と休日の差をグラフ化し、理由を家族にインタビュー | 1週間 |
| クラスの友人の「朝ごはん事情」アンケート | 食べる派・食べない派の割合と理由を集計、聞き方の偏りにも言及 | 3〜5日 |
| 地域の商店街とショッピングモールの利用比較 | 時間帯別の人通りを数え、年代層の違いを観察 | 2〜3日 |
| 一番ジューシーになるお肉の温度・調理法 | 加熱条件を変えて重さの変化(肉汁の残り具合)を計測 | 1〜2日 |
| 自分の住む町の人口の変化を調べる | 自治体の統計データを使い、増減の理由を考察 | 3〜5日 |
| 天気予報はどのくらい当たるのかの検証 | 予報と実際の天気を毎日記録して的中率を計算 | 2〜3週間 |
| コンビニのレイアウトと「買いたくなる仕掛け」 | 複数店舗を観察して商品の配置の共通点を整理 | 2〜3日 |
社会課題×探究というテーマの広げ方
環境問題や地域の課題など、社会とのつながりを意識したテーマも中学生には取り組みやすい分野です。学校のゴミ箱の中身を分別調査してリサイクル率を計算したり、学校給食の食品ロスの量を1週間記録して原因を考察したりする例が紹介されています。身近な場所を対象にすると、大きな社会課題も「自分ごと」として調べやすくなります(タイガーモブ「探究×実践 中高生に最適な探究テーマ100選」2025年9月)。
SDGsをテーマにする場合も、17の目標をそのまま扱おうとするのではなく、「自分の生活に身近なテーマ」に絞り込むことがポイントです。海に流れ込むプラスチックごみについて、自宅で出るごみを1週間記録してグラフにまとめたり、リサイクルマークの意味を調べて地域のルールと比較したりする方法があります(Pre.STUDY「SDGsをテーマにした自由研究アイデア集」2025年9月)。
学校の勉強と社会の課題がつながっていることを実感できるこうしたテーマは、Investureが大切にしている「学びと社会をつなぐ」という視点そのものです。自由研究をきっかけに、将来の職業や社会の仕組みに関心を持つお子さんもいます。テーマを選んで終わりにせず、「なぜその課題が生まれるのか」「自分の生活とどうつながっているのか」まで掘り下げると、中学生らしい深みのある自由研究になります。
| テーマ例 | 調べ方のポイント | 目安期間 |
|---|---|---|
| 自宅のごみを1週間記録してプラごみの割合を調べる | 種類別に重さや個数を記録し、減らせるものを考察 | 1週間 |
| 家庭の食品ロスの量と原因の調査 | 捨てた食品と理由を毎日記録、防ぐ工夫を提案 | 1週間 |
| リサイクルマークの意味と地域の分別ルール比較 | パッケージのマークを集めて自治体ルールと照合 | 3〜5日 |
| 自宅の電気使用量を減らすチャレンジ | 節電前後の使用量を比較し、効果の大きい行動を特定 | 2週間 |
| 近所の川や公園のごみ・生き物観察 | 場所ごとの状況を写真とマップで記録 | 2〜3日 |
| 防災の視点で自宅・通学路を点検する | ハザードマップと照らして危険箇所と備えを整理 | 2〜3日 |
| フェアトレード商品を身近なお店で探す | 見つけた商品を記録し、価格や産地を比較 | 2〜3日 |
ものづくり・プログラミング系
工作や簡単なプログラミングを使ったテーマも人気があります。センサーを使った簡易的な自動装置づくりや、Scratchなどを使ったオリジナルゲームの制作などは、失敗と改善を繰り返す過程そのものが探究になります。
こうしたテーマの場合、完成度の高さよりも、「うまくいかなかった部分をどう直したか」を記録しておくことが大切です。最初の設計から何度作り直したか、どこでつまずいたかを写真やメモで残しておくと、結果だけでなく過程が伝わるレポートになります。ものづくりが得意なお子さんほど、完成させることに満足して過程の記録を忘れがちなので、途中経過を残す習慣を事前に伝えておくとよいでしょう。
| テーマ例 | 調べ方・作り方のポイント | 目安期間 |
|---|---|---|
| Scratchでオリジナルゲームを作る | 企画→試作→友人にテストプレイ→改善の流れを記録 | 1〜2週間 |
| ペットボトルで自動水やり装置を作る | 毛細管現象などの仕組みも合わせて解説 | 3〜5日 |
| 段ボールで実際に使える収納・家具を設計 | 強度を高める構造(三角形・ハニカム)を試して比較 | 3〜5日 |
| マイコン(micro:bitなど)で温度記録計を作る | 部屋ごとの温度差を自動計測してグラフ化 | 1週間 |
| 紙飛行機の形と飛距離の関係を検証 | 翼の形だけを変えて複数回飛ばし、平均値で比較 | 1〜2日 |
| 輪ゴム動力車の改良で走行距離を伸ばす | 改良前後の記録を残し、何が効いたかを考察 | 2〜3日 |
AIを自由研究のテーマ探し・進め方に活用する方法
近年は、生成AIを自由研究のヒントに活用する家庭も増えています。ある独自調査では、小学生の自由研究において保護者の6割以上が「AIを使わない」と回答した一方で、テーマのアイデア出しや情報収集の補助として使いたいという声も一定数あることがわかっています(株式会社DeltaX「小学生の自由研究で『AI使わない』が63%」2025年8月)。
AIでテーマのヒントを広げる使い方
生成AIは、興味のある分野を伝えると、それに関連したテーマ案をいくつも提示してくれます。「昆虫が好き」「料理に興味がある」といった漠然とした興味から、具体的な研究テーマの候補を引き出す壁打ち相手として活用するのが効果的です。ChatGPTは13歳以上での利用が可能とされていますが、18歳未満は保護者の同意が必要とされている点にも注意が必要です(アメ塾「ChatGPTとは?中学生・高校生向け使い方解説」2026年1月)。
テーマ探しだけでなく、AIそのものを対象にした自由研究という切り口も広がっています。同じ質問を「短い質問」「詳しく条件を加えた質問」「人物設定をつけた質問」など複数のパターンで入力し、回答の長さや内容、正確さを比較して、指示の書き方によって回答がどう変わるかを考察するという進め方です(note「自由研究でAI活用!ChatGPTを使って中学生・小学生が取り組める簡単研究テーマ」2025年5月)。
このように「AIをどう使うか」自体を探究の対象にすると、理科や社会のように既存のジャンルに縛られないテーマになります。AIの回答の特徴そのものを分析するアプローチは、まだ扱う人が少ない分、オリジナリティを出しやすい切り口です。
使うときに気をつけたいこと
AIを使う際は、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- AIの回答をそのまま書き写すのではなく、自分の言葉で説明できる状態にする
- AIが出した情報は、教科書や信頼できるウェブサイトで裏付けを確認する
- 氏名や学校名、住所など、個人情報をAIに入力しない
- テーマ探しや構成の相談には使ってよいが、実験や調査そのものはお子さん自身が行う
文部科学省も教育現場での生成AI利用についてガイドラインを示しており、誤った情報が含まれる可能性や著作権への配慮など、リスクについても触れられています。家庭で使う場合も、こうした注意点を親子で共有しておきたいところです。AIはあくまで「壁打ち相手」であり、自由研究の主役はお子さん自身であるという線引きを、使い始める前に話し合っておくことをおすすめします。
自由研究の進め方4ステップ
テーマが決まったら、次の4つのステップに沿って進めると、途中で迷いにくくなります。
| ステップ | 内容 | 中学生向けのポイント |
|---|---|---|
| ①課題の設定 | なぜそのテーマを選んだのか、何を明らかにしたいのかを言葉にする | 「〜だろうか」という問いの形にする |
| ②情報の収集 | 実験・観察・アンケート・文献調査などで情報を集める | 情報源は複数用意し、出典を記録しておく |
| ③整理・分析 | 集めた情報を表やグラフに整理し、傾向を読み取る | 数字だけでなく「なぜそうなったか」も考える |
| ④まとめ・表現 | 結果と考察をレポートや発表資料にまとめる | 疑問に思ったことや次に調べたいことも書き添える |
①の課題の設定でつまずくお子さんは多いですが、ここで焦って詳細を決めすぎる必要はありません。「なんとなくこれが気になる」という段階から始めて、②の情報収集を進めながら少しずつ問いを具体化していくのが自然な流れです。最初に立てた仮説と結果が違っていても構いません。むしろ、予想と違った理由を考えることが③の整理・分析の中で一番深い学びにつながります。
この4ステップは、社会に出てから企画書を作ったり、仕事上の課題を解決したりするプロセスとも重なります。自由研究で身につけたこの型は、高校や大学の探究学習、さらには仕事の場面でも活きてくる汎用的な力です。夏休みの数週間で完結する取り組みではありますが、その中で経験する試行錯誤は、一過性のものではなく積み重なっていく力になります。
レポート・まとめ方のコツ
構成の基本
中学生の自由研究レポートでは、テーマを選んだ理由から始め、方法、結果、考察という流れで、読み手が順を追って理解できるようにすることが基本です。表やグラフ、写真や図を用いて視覚的にわかりやすくまとめることも、評価されやすいレポートのポイントとして挙げられています(まなびち「自由研究の上手な書き方まとめ方」2023年8月)。
具体的には「研究の動機」「仮説」「方法」「結果」「考察」「参考文献」の順に並べるのが、初めてでも書きやすい構成です。特に考察の部分では、結果をただ説明するのではなく、「予想と違った理由は何か」「もう一度やるならどう改善するか」まで踏み込んで書くと、単なる報告ではなく探究のレポートらしくなります。参考にした本やウェブサイトは、著者やサイト名、タイトル、URL、閲覧日をあわせて記録しておくと、あとから慌てずに済みます。
図表・写真の使い方
数字の変化を伝えるときはグラフ、比較を伝えるときは表、といったように、内容に合った見せ方を選ぶだけで読みやすさは大きく変わります。変化の推移を示すなら折れ線グラフ、項目ごとの比較なら棒グラフ、割合を示すなら円グラフというように、伝えたい内容に応じてグラフの種類を使い分けることで、読み手の理解がぐっと進みます。
写真を使う場合は、実験の前後や変化がわかる場面を選んで撮影しておくと、レポートの説得力が増します。模造紙にまとめる場合は、鉛筆で薄く下書きをしてから、写真や図を貼るスペースを空けておくとレイアウトが崩れにくくなります。見出しは本文よりも大きく書き、余白を意識して配置すると、離れた場所からでも内容が伝わりやすい仕上がりになります。
自由研究の失敗を防ぐ注意点
自由研究でよくあるつまずきには、共通したパターンがあります。事前に知っておくだけで防げるものも多いので、取り組む前に確認しておきましょう。
- テーマが大きすぎて、夏休み中に終わらない(範囲を絞る、期間内でできる規模に調整する)
- 実験や調査を1回しか行わず、結果に偏りが出る(可能であれば条件を変えて複数回試す)
- 参考にしたウェブサイトや本を記録し忘れる(調べた時点でメモを残す習慣をつける)
- 感想と考察を混同してしまう(「楽しかった」で終わらせず、「なぜそうなったか」まで書く)
- まとめの作業を最終日に詰め込んでしまう(レポート作成には想像以上に時間がかかる)
特に中学生の場合、部活動の大会や合宿、塾の講習との両立でスケジュールがタイトになりがちです。「自分の探究期間はこの1週間」とカレンダーを見ながら早めに宣言し、逆算して計画を立てることが、直前で慌てないための一番のコツだと紹介されています(麗澤瑞浪中学・高等学校「中学生の自由研究おすすめテーマ25選」2026年5月)。
たとえ1日で終わる内容であっても、準備と考察を丁寧に行えば、それだけで十分に探究として成立します。反対に、どれだけ壮大なテーマを選んでも、最後のまとめが雑になってしまうと、せっかくの取り組みが十分に伝わらなくなってしまいます。テーマの大きさよりも、最後まで自分の言葉でやり切ることを優先する意識が大切です。
また、完璧を目指しすぎないことも意外と重要なポイントです。実験が思うようにいかなかったり、アンケートの回収数が少なかったりしても、それをそのまま「うまくいかなかった理由」として考察に書けば、それ自体が探究の記録になります。中学生の自由研究で評価されるのは、結果の華やかさよりも、途中の試行錯誤をどれだけ自分の言葉で説明できるかという点です。うまくいかなかったことを隠さずに書く姿勢は、むしろ探究らしさとして伝わります。
自由研究の経験は、将来のどんな力につながるのか
自由研究で身につく力は、実は職業や社会での活動と地続きです。たとえば、アンケートを設計して分析する力は、企業のマーケティング担当者が商品開発の前に行う市場調査の考え方とよく似ています。誰にどんな質問をすれば知りたいことがわかるのか、集めたデータをどう分類すれば傾向が見えるのかを考える経験は、教科の枠を越えて役立つスキルです。
また、実験で仮説を立てて検証するプロセスは、研究者だけでなく、新しいサービスを企画する仕事や、課題を発見して解決策を考える仕事にも共通する考え方です。社会課題をテーマにした自由研究であれば、地域や環境の問題を「自分ごと」として捉える経験そのものが、将来どのような形で社会と関わりたいかを考えるきっかけになることもあります。
もちろん、中学生の時点で将来の職業を決める必要はありません。ただ、「テーマを決め、調べ、考えをまとめて人に伝える」という自由研究の一連の経験は、勉強とは違う形で「自分は何に興味があるのか」「どんな考え方が得意なのか」を知る手がかりになります。Investureが発信している実学系のコンテンツ(マーケティングや経営、AI活用など)も、こうした日常の探究の延長線上にある内容です。自由研究で感じた「調べるって面白い」という感覚がその先の学びにつながれば、この経験の価値はさらに大きくなります。
今日からできること:お子さんと一緒にテーマを選ぶために
自由研究のテーマ選びは、お子さんの興味を知る絶好の機会でもあります。「何をやりたいか」を最初から聞き出そうとするのではなく、「最近ハマっていることは?」「気になったニュースある?」といった軽い会話から始めてみてください。食卓での何気ない会話から、思いがけないテーマのヒントが見つかることもあります。
テーマが決まったら、保護者の役割は「答えを教えること」ではなく、「一緒に考える伴走者になること」です。うまくいかない実験や、思うようにまとまらないデータも、それ自体がお子さんにとって大切な学びになります。結果がきれいに出なかったときこそ、「なぜだろうね」と一緒に考える姿勢が、お子さんの探究心を育てます。
学校の勉強とは違う形で「好き」を掘り下げる経験は、進路や将来の興味関心につながっていく可能性を秘めています。自由研究で扱ったテーマがきっかけで、理系の進路に興味を持ったり、社会課題への関心が深まったりすることもあります。忙しい毎日の中で、お子さんの自由研究に時間を割くのは決して楽なことではありません。それでも、テーマを一緒に考えた時間や、うまくいかなかった実験について話し合った時間は、お子さんの中に「自分で調べて考える経験」として残っていきます。夏休みという限られた期間だからこそ、親子でじっくり向き合う時間にする価値があります。
それでもテーマが決まりきらないときは、研究のタネで無料診断を試してみてください。性格タイプ×好きなものの掛け合わせから、他の子と被りにくいテーマが6つ届き、印刷して親子で相談しながら選ぶこともできます。
Investureでは、こうした探究的な学びと将来のキャリアや社会とのつながりを紹介する記事を発信しています。自由研究で「調べる楽しさ」に触れたお子さんには、ぜひ関連コンテンツもあわせてチェックしてみてください。
よくある質問
自由研究はいつから始めるのがよいですか?
夏休みに入ってすぐの1週間でテーマを決め、お盆前までに実験や調査を終えるのが目安です。まとめの作業には数日かかるため、余裕を持たせた計画が現実的です。
テーマが理科でも社会でもない場合はどうすればよいですか?
音楽と体育、料理と化学のように、2つの分野を組み合わせるとオリジナリティのあるテーマになります。好きな教科がなくても、趣味や部活動から発想する方法があります。
AIで考えたテーマをそのまま提出してもよいですか?
テーマのヒントとして使うのは問題ありませんが、実際に調べる・考察するという中身の部分はお子さん自身が行うことが前提です。学校によってはAI利用について独自のルールを設けている場合があるため、事前に確認しておくとトラブルを防げます。
レポートは手書きとパソコンのどちらがよいですか?
学校の指定がなければどちらでも構いません。グラフや写真を多用する場合はパソコンでの作成が効率的ですが、模造紙での手書きも視認性の高いまとめ方として根強い人気があります。
兄弟姉妹で同じテーマにしてもよいですか?
学年が違えば深掘りの度合いを変えることで、それぞれ独自の研究にできます。ただし、学校に同じテーマの提出が許可されているかは事前に確認しておきましょう。
監修:小牧健也(Investure編集長)


